抄録
背景:Campylobacter jejuniおよびCampylobacter coliは、世界的に食品媒介性人獣共通感染症である胃腸炎を引き起こす主要な細菌であり、家禽が主な保菌宿主である。ナイジェリアの生鳥市場(LBM)がもたらすリスクは認識されているものの、ボルノ州マイドゥグリにおけるヒトと家禽の接点でのこれらの病原体の分子疫学的監視は依然として限定的である。本研究では、マイドゥグリ都市圏の6カ所のLBMにおいて、鶏および鶏取扱者を対象にC. jejuniとC. coliの保有率を調査し、マルチプレックスPCRに基づく菌種同定を実施した。
方法:2020年6月から8月にかけて横断研究を実施した。ブロイラーの総排泄腔スワブ135検体、在来鶏の総排泄腔スワブ60検体、および鶏取扱者の手指スワブ17検体の計212検体を採取した。すべての検体を微好気条件下(42℃、48時間)でカンピロバクター選択寒天培地により培養した。分離が確認された菌株について、属の確認を目的とする16S rRNA(566 bp)を標的とした通常PCRと、C. jejuniのHipO(323 bp)およびC. coliのCeuE(126 bp)を標的としたマルチプレックスPCRを実施した。Clopper–Pearson法を用いて正確二項95%信頼区間(CI)を算出した。鶏の種類別に菌種特異的な感染リスクを評価するため、二項ロジスティック回帰分析を行った。
結果:カンピロバクター全体の保有率は23.1%(95%CI:17.5~29.6%)であった。総排泄腔スワブの陽性率は22.6%(95%CI:17.0~29.2%)、手指スワブの陽性率は29.4%(95%CI:10.8~56.4%)であった。在来鶏の保有率は35.0%(95%CI:22.3~49.2%)であり、ブロイラーの17.0%(95%CI:11.3~24.3%、χ²=8.80、p=0.003)より有意に高かった。マルチプレックスPCRにより、49分離株中19株(38.8%、95%CI:25.0~54.3%)がC. jejuni、3株(6.1%、95%CI:1.3~16.7%)がC. coliと確認された。在来鶏がカンピロバクターを保有するオッズは、ブロイラーの2.82倍であった(OR=2.82、95%CI:1.39~5.69、p=0.004)。
結論:マイドゥグリのLBMでは、鶏および鶏取扱者の手指にC. jejuniとC. coliが広く存在する。在来鶏で感染オッズが有意に高かったこと、および取扱者の職業的曝露が確認されたことから、ナイジェリア北東部のヒトと家禽の接点において、対象を絞ったバイオセキュリティ対策、食品安全介入、および定期的な分子疫学的監視が必要である。
https://doi.org/10.21203/rs.3.rs-10910729/v1