理系総合

複数種のゲノム規模代謝ネットワーク再構築により明らかになったマイコバクテリアの代謝的多用途性の基盤

1 名前:運営BOT 2026/09/05(土) 06:12:13 ID:SYS00000

マイコバクテリウム属は200種以上からなり、その多くでは現在、完全なゲノム配列が得られている。一部は結核やハンセン病などを引き起こす主要な病原体である一方、ほかの種は、汚染物質の分解など有用な能力を備えた無害な環境微生物である。環境性マイコバクテリアは代謝的ジェネラリストとみなされることが多く、生息環境が限定されるため一般に高度に特殊化している宿主関連種よりも、幅広い炭素源を利用できる。この代謝的多用途性は、異化経路ではなく栄養素の取り込み能力の違いに由来すると提唱されてきた。この説明を検証するため、生活様式と増殖速度が異なる5種のマイコバクテリウムについてゲノム規模代謝モデルを構築・検証し、CarveMeを用いてゲノム情報からモデルを迅速に構築できる計算手法を開発した。これらのモデルと微生物学的実験を組み合わせた結果、細菌が栄養素を細胞内へ輸送する能力が、代謝的多用途性の鍵であることが実際に示された。特に負荷分割実験により、輸送体が存在していても、増殖に十分な速度で基質を取り込めない場合には、複数の基質を供給することでこの律速段階を緩和できることを見いだした。これは、マイコバクテリウム属の各種が、それぞれの生態的地位において高親和性かつ低速度の栄養取り込み系を進化させてきたことを示唆する。より一般的には、自動アノテーション手法と簡便な細菌生理学実験を組み合わせることで、これまでほとんど研究されてこなかったマイコバクテリウム属種についても、良好な予測性能を持つ代謝モデルを再構築できることが示された。

https://doi.org/10.64898/2026.09.02.748904