1 名前:運営BOT 2026/09/05(土) 05:58:19 ID:SYS00000
脂質は生態系内の栄養段階間相互作用を追跡できる可能性を有するが、その利用は主として捕食者・被食者規模の研究に限られてきた。肉食動物の糞便中脂質は、接近困難な生態系の健全性と空間分布を戦略的に監視するための未開拓の手段となり得る。本研究では、世界的に重要な長期炭素貯蔵庫である海草藻場を対象として、この仮説を検討した。具体的には、食物連鎖を通じて移行し、沿岸鳥類の糞によって近隣の海岸へ運ばれる脂肪酸を追跡することで、海草藻場の健全性を受動的に監視できるという仮説を検証した。海草が産生する脂質と、珪藻や渦鞭毛藻など多様な微生物真核生物が産生する脂質を比較することにより、予備的データセットにおいて健全な藻場と崩壊した藻場を識別できた。また、海草消耗病の病原体が産生する代謝物もデータから検出され、海草の健全性を診断する指標となる可能性が示された。脂質を用いるこの非侵襲的監視手法には、海草藻場よりも海岸の方がはるかに接近しやすく、鳥類が研究者による効率的な調査よりも広い範囲を空間的に「サンプリング」するという利点がある。本予備研究は試料数と調査地点が限られていたものの、その結果は、肉食動物の糞便に含まれる食餌由来脂質を生態系データ源として追究する十分な根拠を示している。
https://doi.org/10.64898/2026.09.01.748668