背景 小児肺炎死亡率の歴史的低下は、インフルエンザ菌b型(Hib)および肺炎球菌を標的とする単一病原体ワクチンによって大きく促進された。しかし、小児肺炎死の原因となる病原体の範囲は多様化している。病原体の有効数は1990年の5.57から2023年には9.94へ増加し、残存する疾病負担は、小児用の承認済みワクチンが存在しない日和見病原体および院内関連病原体へ移行しつつある。本論文では、この移行が進むなかで、単一病原体介入と基盤投資の間における資源投入の順序をどのように定めるべきかを問う。方法 世界疾病負担研究2023に基づき、0~19歳における29病原体による死亡を超地域別に分析し、肺炎球菌結合型ワクチン3回接種(PCV3)およびHibワクチン3回接種(Hib3)に関するWHO・UNICEF各国予防接種率推計(WUENIC)と組み合わせた。二つの分母(26病原体および29病原体基準)を用いて病原体スペクトラムの移行を定量化し、明示的な分類規則に基づいて各病原体を主要な介入経路(ワクチン対応可能型、混合型、基盤依存型)に割り当てる「割合×介入可能性」マトリクスを構築した。また、基盤依存型病原体による死亡数を、透明性のある方法で算出したワクチン予防可能な残存死亡数のシナリオと比較し、病原体を年齢指向性および貧困固定性によって交差分類した。基盤介入は、検証済みの公表エビデンスに基づいて設定した。結果 ワクチン予防可能群の割合は54.0%から40.2%へ低下した一方、日和見・院内感染群は18.1%から23.1%へ上昇した(29病原体基準、1990~2023年)。超地域別のワクチン接種率と病原体割合の変化との間に有意な関連は認められなかった(PCV3:スピアマンのρ=0.108、p=0.818、Hib3:ρ=−0.036、p=0.939)。この帰無結果は、単純な接種率と疾病負担の相関が地域レベルでは成立しないことを示す証拠として報告するものであり、ワクチンの価値を否定する証拠ではない。2023年には、ワクチン対応可能型病原体が441,410人の死亡(45.7%、COVID-19を含む経路)、混合型が126,926人(13.1%)、基盤依存型病原体が396,995人(41.1%)を占めた。基盤依存型病原体による死亡数は、ワクチン予防可能な残存死亡数のシナリオ推計値(52,435~77,512人)の2.9~5.1倍であった。分類可能な14病原体のうち9病原体が、貧困固定型かつ乳児指向型のセルに該当した(死亡数480,922人、フィッシャーの正確確率検定によるオッズ比=9.0、p=0.1758)。結論 病原体スペクトラムが多様化し、残存死亡が基盤依存型、貧困固定型、乳児指向型の病原体に集中するにつれて、単一病原体戦略の限界価値は低下する。ワクチン接種の拡大は依然として確実かつ大規模な機会であるが、限界的な追加資源は今後、残存負担が固定されている集団に対し、一体的に提供される基盤的能力、すなわち酸素供給体制、抗菌薬へのアクセスと適正使用支援、感染予防・管理、患者紹介、および栄養へ、より多く配分すべきである。
https://doi.org/10.64898/2026.09.01.26361934