代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)はグルタミン酸作動性伝達を調節し、多様な神経精神疾患への関与が示唆されているが、ヒト死後脳における知見は断片的なままである。本研究では、診断、受容体サブタイプ、脳領域、測定法ごとにこれらの知見を整理することを目的とした。PRISMAガイドラインに従い、データベース開設時から2026年8月8日までのMEDLINE、EMBASE、Web of Scienceを対象に、ヒト死後脳組織におけるGRM転写産物、ならびにmGluRタンパク質量、局在、会合状態、受容体結合を評価した研究を系統的に検索した。同定された532件のうち、57報が適格基準を満たした。診断、脳領域、受容体サブタイプ、測定法に大きな異質性があったため、知見は叙述的に統合した。死後脳研究の知見は、mGluR5、mGluR2/3、mGluR1、および前頭前皮質、前帯状皮質、海馬に集中していた。mGluR関連の変化は、統合失調症、大うつ病性障害、アルツハイマー病、自閉スペクトラム症、アルコール使用障害など、複数の疾患で報告されていた。大半の解析では有意な所見が得られなかったものの、mGluR変化の方向と大きさは、脳領域、受容体サブタイプ、分子学的評価項目によって異なっていた。この不一致は、転写産物量、総タンパク質量、受容体会合、局在、リガンド結合がそれぞれ異なる生物学的階層を捉えることに加え、脳領域、細胞種、病期、臨床的特性の異質性を部分的に反映している可能性がある。したがって、既存の証拠はmGluR生物学における状況依存的な変化を示唆するが、疾患横断的に一貫した、または疾患特異的な分子シグネチャーを示すものではない。死後脳研究の知見を生体イメージングなどの他の手法と統合することで、その生物学的および臨床的意義が明確になる可能性がある。
https://doi.org/10.64898/2026.08.29.748003