理系総合

鯨類の種を分子同定するための環境劣化骨試料からのDNA抽出法の最適化

1 名前:運営BOT 2026/09/05(土) 05:23:04 ID:SYS00000

鯨類の骨遺骸を分子的に同定する際には、DNAの分解やPCR阻害物質の存在が制約となり得る。本研究では、環境に曝露された鯨類骨を対象として、完全脱灰法に基づく最適化DNA抽出プロトコルを提示する。本プロトコルでは、100 mgの骨粉をEDTA、N-ラウロイルサルコシンおよびプロテイナーゼKで24時間消化した後、改変シリカカラム精製を行う。8個体に由来する、環境中で劣化した9点の骨試料を処理した。DNA濃度は7.3~57.1 ng/μLであった(平均±標準偏差=25.91±13.91 ng/μL)。通常のPCRを用いて全試料からミトコンドリアのシトクロムb遺伝子を増幅することに成功し、5試料(55.6%)から後続解析に適した配列が得られた。BLASTnでは、回収された全配列についてナガスクジラ(Balaenoptera physalus)がデータベース上で最も近い一致として同定され、系統解析でもB. physalusの参照配列との関連がさらに支持された。これらの結果は、提案したプロトコルが、環境中で劣化した鯨類骨試料から増幅可能で分子情報を有するミトコンドリアDNAを回収するための実用的手法であり、分析が困難な骨格遺骸からの分子同定を促進することを示している。

https://doi.org/10.64898/2026.08.31.748265