人口の約11%は左利きであり、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)研究に参加し得る集団のうち無視できない少数派を占める。しかし、fMRI研究では、左利き(LH)の人々は右利き(RH)の人々とは神経機能の側性化が異なる可能性があるとの想定から、こうした参加候補者を除外することが慣例となっている。この側性化の違いにより、同じ課題でも脳の異なる領域が活性化される可能性がある。本研究では、言語刺激および非言語刺激の符号化課題と再認記憶課題における、LH参加者(n=54)とRH参加者(n=55)の側性化の違いを検討した。さらに、意味流暢性課題を実施し、参加者の言語側性化指数を測定した。言語刺激と非言語刺激のいずれについても、行動指標による記憶成績に群間差は認められなかった。同様に、符号化時および検索時の言語材料と非言語材料のいずれについても、fMRI活性化に群間差は認められなかった。言語側性化に基づいて群を分けた場合、単語検索時に限り、右側性化した参加者でより強い活性化が観察された。fMRI研究にLH参加者を含めることで結果が希薄化するかを測定するため、データの部分集合を用いてモンテカルロ・シミュレーションを実施した。標本サイズはn=10から50、各標本に含まれるLH参加者数はk=0から9とした。RH参加者のみの標本とLH参加者を含む標本との活性化マップ間の類似度指標は頑健であり、特に標本サイズが大きい場合に顕著であった(例えば、n=50ではDice類似係数が0.9を上回った)。以上の結果は、左利きの参加者を含めても、記憶に関連するfMRI活性化に強い悪影響を及ぼさないことを示している。これに基づき、記憶の認知神経科学研究に左利きの参加者を含めることを提唱する。
https://doi.org/10.1101/2023.08.17.553587