Streptococcus pneumoniaeにおけるβ-ラクタム耐性は通常、抗菌薬を1種類ずつ解析し、耐性/感受性の分類を用いることが多い。この手法は、この菌種での最小発育阻止濃度(MIC)が連続的であり、β-ラクタムのサブクラス間で相関はあるものの同一ではない変動を示し、さらに基盤となるペニシリン結合タンパク質(PBP)の複雑な遺伝的多様性を反映しているという事実を見えにくくする。これに対処するため、我々は多変量の耐性表現型を解析する枠組みを開発し、Antimicrobial Resistance Cartography(抗菌薬耐性カルトグラフィ)と名付けた。そして、米国Active Bacterial Core surveillance programmeから得た侵襲性の肺炎球菌分離株3,628株に適用し、6種類のβ-ラクタムに対するMICを測定した。我々は、このアプローチが複数薬剤にまたがる耐性データの可視化をいかに単純化するか、欠損値や打ち切り値といった一般的な問題をどのように解決するか、さらに複数のβ-ラクタム抗菌薬に対する相関した耐性変化を駆動する遺伝子変異をどのように同定するかを示す。さらに、β-ラクタムのサブクラスに対する最小発育阻止濃度の上昇に関連するペニシリン結合タンパク質(PBP)置換を特徴づけ、その相関した表現型効果における微妙な違いを明らかにし、遺伝的背景によって耐性進化に制約が生じうることを特定する。加えて、肺炎球菌の系統がPBP置換の異なる組み合わせを保有し、それが系統特異的な多変量耐性プロファイルを生み出すことも見いだす。これらの結果は、肺炎球菌のβ-ラクタム耐性に対して多変量の視点を与え、関連する抗菌薬間で異なる耐性表現型が、PBP置換の組み合わせによってどのように生成されるかを示す。
https://doi.org/10.1101/2025.09.12.675231