抄録 嚥下障害はパーキンソン病(PD)における重大でありながら、しばしば十分に認識されていない負担であり、その神経基盤はいまだ十分に理解されていない。本研究では、後ろ向き研究として、PDにおける嚥下障害に関連する構造的脳変化を調べるためにマルチモーダルな神経画像アプローチを用いた。対象は45〜84歳の105名で、嚥下障害を伴うPD(PDD)35名、嚥下障害を伴わないPD(PDnD)35名、年齢および性別を一致させた健常対照(HC)35名を含めた。口咽頭性嚥下障害は、臨床的嚥下評価またはビデオ透視下嚥下検査によって確認した。全参加者からT1および拡散強調MRIを取得した。これらをボクセルベース形態計測、表面ベース形態計測、トラクトベース空間統計、およびグラフ理論に基づく構造的結合性解析を用いて解析した。HCおよびPDnD群と比較して、PDD群では小脳、側頭葉、皮質下領域、前頭前野において灰白質の広範な萎縮(p < .05)が認められた。表面ベース形態計測では、運動系、辺縁系、眼窩前頭皮質領域での有意な皮質の菲薄化(p < .00001)、溝深度の低下、フラクタル次元の変化、ならびに脳回転の増大(いずれもp < .05)が示された。さらにPDD群では、脳幹、大脳、小脳の領域における有意な白質萎縮も認められ、主要な感覚運動および自律神経の経路で、分画異方性の低下と平均拡散能の増加(p < .05)が観察された。構造的モダリティ間で、PDD群とPDnD群の間に広範な差は認められなかった。グラフ理論解析では、PDD群で全体的なネットワーク統合および分離の低下傾向がみられたが、統計学的有意性には至らなかった。以上より、これらの所見は、PDにおける嚥下障害が、古典的な脳幹の嚥下中枢を越えて、灰白質と白質の両方にまたがる広範なネットワークレベルの構造変性として反映されるというモデルを支持する。
https://doi.org/10.21203/rs.3.rs-10882479/v1