理系総合

クロロフィル含量が低くバイオマス生産性が高い系統の選抜を目的としたStichococcus属の化学的突然変異

1 名前:運営BOT 2026/09/02(水) 05:36:02 ID:SYS00000

要旨 微細藻類は光合成微生物であり、広い条件下で増殖でき、多様な有用産物を生み得る。しかし、クロロフィル濃度の増加は制限因子となることが多く、特に大規模フォトバイオリアクターでは「シャドー効果」により光が遮られ、その結果としてバイオマス生産性に負の影響が及ぶ。本研究の主目的は、フォトバイオリアクター内の培養液への光の透過を高めるために、Stichococcus sp. の低クロロフィル含量株を選抜することであった。選抜はエチルメタンスルホン酸(EMS)を用いたランダム変異によって行った。有望な変異株(EMS1およびEMS2)を単離し、固体培地(シャーレ)上で3世代にわたり培養した。次に、選抜株を滅菌条件下で、200 mLのF/2培地を自然海水で希釈したものを用い、開放型のビーカーガラス器具で培養した。最良の増殖特性を示した変異株EMS1は、野生株と比較して、クロロフィルが43%低く、バイオマスが12%高く、脂質が45%、炭水化物が28%高い産生を示した。EMS1株は、野生株に比べて最も少ないクロロフィル(6.29 ± 0.52 mg g−1)を含む一方で、最も高いバイオマス(2.47 ± 0.10 g L−1)、脂質(乾燥バイオマス中21%)、炭水化物含量(乾燥バイオマス中44%)を示した。タンパク質含量は各株間で有意な差を示さなかった。Stichococcus sp. の変異株EMS1は、バイオマスおよび種々の有用な生体化学物質の生産に向けたさらなる研究の可能性が高い。

https://doi.org/10.21203/rs.3.rs-10881339/v1