水利用可能性は、植物とその微生物群集、病原体を含むうえで重要である。植物病原体のPhytophthora cinnamomiは、湿度が変動する土壌中で存続するが、Phytophthoraおよびべん毛藻類(oomycetes)全般における細胞レベルでの水分制限応答は十分に理解されていない。先に、P. cinnamomiのプロテオーム応答をNaCl誘導の浸透圧ストレスおよびイオンストレスについて特徴づけたものの、PEGを介した水分制限に対する応答は依然として不明であり、干ばつに関連するストレス適応の理解には重要なギャップが残っている。本研究では、ポリエチレングリコール(PEG-3350)処理によるP. cinnamomiの菌糸成長を定量し、中程度の水分制限条件を模倣する形で時間分解プロテオーム動態をプロファイルした。5% PEG-3350処理は対照に比べて放射状の菌糸成長を促進し、初期の成長阻害は観察されなかった。ラベルフリー・プロテオミクスにより1,097のタンパク質グループを同定し、そのうち880のタンパク質は条件間で共有されていた。タンパク質存在量は時間の経過とともに減少するプロファイルが非対称に支配的であった。存在量が増加したのはごく一部のタンパク質に限られ、主にレドックス緩衝に関与する酵素(チオレドキシンやグルタレドキシン様タンパク質)およびミトコンドリア/代謝調節に関与するもの(代替オキシダーゼなど)であった。階層クラスタリングは、潜在的な3相の時間的プログラムを示した。すなわち、早期(1–6 HPT)における翻訳および制御の再編、持続的な代謝調整(6–12 HPT)、およびレドックスとプロテオスタシス機能の遅れての関与(12–24 HPT)である。ネットワーク解析では、レドックス関連機能が適応を通じて統合的に組み込まれていることが示され、個々のクラスターは共因子嗜好(NADP依存酵素とNAD依存酵素)や独自の代謝的役割(マレートデヒドロゲナーゼ、CoAリガーゼ活性)によってさらに特殊化されていた。この協調的で多相的な再編は、中程度の浸透圧ストレス下でも菌糸成長を維持し、P. cinnamomiが受動的なストレス耐性ではなく能動的なプロテオーム適応を用いることを示唆する。本結果は、この侵入性病原体における干ばつ持続の細胞メカニズムを明らかにし、水分制限条件下での疾病管理に向けた分子標的を示すものである。
https://doi.org/10.64898/2026.08.30.747438