背景:動脈瘤性くも膜下出血(aSAH)後の遅発性脳虚血(DCI)に関するエビデンスは乏しい。介入的救済治療(IRT)で治療した虚血性脳卒中と機能予後における、その予測因子と発生頻度を同定し、役割を評価することを目的とした。方法:2014年?2023年にaSAHを発症した成人628例を対象とする後ろ向き単施設研究を行った。主要評価項目は、誘導的高血圧にもかかわらず治療抵抗性のDCI(refractory DCI)とし、少なくとも1回のIRTを実施した症例とした。多変量モデルにより、治療抵抗性DCI、新規虚血性脳卒中、6?12か月時点の機能予後不良(mRS 3?6)を評価した。結果:628例のうち3日以内に死亡した61例をDCI解析から除外した。567例中166/567(29%)が治療抵抗性DCIを発症した。若年(OR = 0.98; P<0.001)、女性(OR = 0.57; P=0.007)、および高いWFNSグレード(OR = 1.18; P=0.011)が治療抵抗性DCIと独立して関連していた。最初のIRTを早期に開始することは、DCI期間の延長(IRR = 0.88; P<0.001)および必要なIRTの増加(IRR = 0.91; P<0.001)と関連していた。166例中29例(17.5%)でIRTはday 14以降に実施され、70歳超の症例は認められなかった。治療抵抗性DCIは新規虚血性脳卒中(OR = 4.68; P<0.001)および機能予後不良(OR = 2.37; P<0.001)と関連していた。さらに治療抵抗性DCIサブグループでは、最初のIRTを早期に開始することが予後不良と関連していた(OR = 0.86; P=0.03)。1?2回のIRT後の転帰は治療抵抗性DCIを認めない群と差がなかった(P=0.4)が、?3回のIRTでは予後不良と関連していた(P=0.04)。結論:治療抵抗性DCIはaSAH患者の29%に影響し、主に若年女性および初期神経学的状態が不良の患者で多く認められた。治療抵抗性DCIは影響を受けた患者のほぼ20%でday 14以降にも及び、70歳超の症例は認められなかった。治療抵抗性DCIと発症の早期化はいずれも放射線学的および機能的転帰不良と関連していた。1?2回のIRTにおける転帰差が検出されなかったことは、治療抵抗性DCIがあっても良好な転帰がなお達成可能である可能性を示唆する。
https://doi.org/10.64898/2026.08.25.26361378