有効な抗JEV治療の欠如は、JEVの制御に重大な課題をもたらしている。β-カテニンはWntシグナル伝達経路の主要なメディエーターであり、ウイルスの複製および宿主の免疫応答のさまざまな制御に関与する。しかし、JEV感染におけるその役割はいまだ解明されていない。そこで本研究では、JEVに対するβ-カテニン特異的阻害剤であるiCRT-14の有効性を評価することに焦点を当てた。JEV感染後にiCRT-14で処置すると、Huh7およびHEK293T細胞においてウイルス産生の放出、ウイルスRNAおよびタンパク質の量が効率的に低下した。さらに、活性型および総β-カテニン、Cyclin D-1、GSK3-βといった経路の他の主要因子も、感染および阻害剤処置細胞で変動した。加えて、iCRT-14はHuh7細胞でIC₅₀が4.56 μであり、JEVライフサイクルの初期段階で最大の阻害を示した。興味深いことに、両細胞でのβ-カテニンの過剰発現、ならびにsiRNAによるβ-カテニンノックダウン(Huh7細胞)では、ウイルス感染が有意に減弱された。これは、ウイルス力価、ウイルスタンパク質発現、ウイルスRNAおよび総RNA量の低下によって裏付けられた。さらに、iCRT-14処置後の細胞外ウイルス力価(84%)および細胞内ウイルス力価(60%)の低下は、JEV感染を障害する役割を示唆する。加えて、インシリコ分子ドッキングおよび共免疫沈降の研究により、β-カテニンとJEVのNS5ならびにEタンパク質との相互作用が示された。総合すると、本結果は効率的なJEV感染には最適なβ-カテニン量が必要であることを示しており、ウイルス感染を制御するための宿主指向型制御戦略の設計における標的としての可能性を明確にする。
https://doi.org/10.64898/2026.08.29.747967