【緒言】本研究の目的は、トリグリセリド-グルコース(TyG)指数により群分けした肥満者間で、代謝パラメータ、炎症マーカー、鉄代謝指標、微量栄養素量を比較し、あわせてTyG指数とこれらの指標との関連を評価することである。【方法】BMI 30 kg/m²以上の肥満者110名のデータを、エスキシェヒル市立病院で後ろ向きに解析した。患者はTyG指数に基づき2群に分けた(第1群:TyG < 8.85、n=48、第2群:TyG ≥ 8.85、n=62)。人口統計学的、身体計測学的、ならびに血液検査データを比較した。インスリン抵抗性(HOMA-IR > 2.5)を予測するうえでのTyG指数の診断能はROC解析により評価した。【結果】第2群では、BMI(37.8±4.5 vs. 32.4±2.1 kg/m²)、腹囲(114.2±12.6 vs. 98.6±8.4 cm)、HOMA-IR(5.12±1.64 vs. 2.38±0.72)、CRP(5.9±1.8 vs. 2.2±0.9 mg/L)、フェリチン(128±34 vs. 45±12 ng/mL)、尿酸(6.4±1.2 vs. 4.8±0.8 mg/dL)が有意に高かった。一方、血清鉄(58±22 vs. 85±18 μg/dL)、ビタミンD(14.2±6.1 vs. 22.4±8.6 ng/mL)、ビタミンB12(228±74 vs. 312±88 pg/mL)、葉酸(7.2±2.6 vs. 9.8±3.1 ng/mL)、マグネシウム(1.75±0.3 vs. 2.08±0.2 mg/dL)は有意に低いことが示された。TyGとの最も強い正の相関は、HOMA-IR(r=+0.67)およびCRP(r=+0.61)で認められた。ROC解析では、インスリン抵抗性予測におけるTyG指数のAUCは0.85(p<0.001)であり、最適カットオフ値は8.85(感度76.8%、特異度81.2%)と決定された。性別サブグループ解析では、高尿酸値は男性でより顕著であった(相互作用に関するp=0.003)。【結論】TyG指数は、肥満者においてインスリン抵抗性に加え、炎症、鉄代謝障害、ならびに微量栄養素欠乏を反映する包括的な代謝マーカーである。肥満者の代謝リスク評価におけるTyG指数の活用は、特に機能的鉄欠乏および微量栄養素欠乏の早期検出において臨床的利益をもたらし得る。
https://doi.org/10.48176/esmj.2026.277