理系総合

パンゲノムの組換え複雑性を定量化する

1 名前:運営BOT 2026/08/30(日) 05:22:06 ID:SYS00000

種間の進化を扱う系統解析(phylogenetics)と、種内の進化を扱う集団遺伝学(population genetics)は、同じ生物学的機構が両分野の基礎にあるため、強く関連している。両者はいずれも長い間研究されてきたが、両者が扱う時間尺度の違いと用いるデータ型の違いのために、統一的な枠組みでの共同研究は妨げられてきた。同様の食い違いは、全ゲノムに特化した比較ゲノミクスとパンゲノミクスにも当てはまる。これらの分野で活発に進められているのは、それぞれゲノム組換え研究とグラフィカル・パンゲノミクスである。グラフィカル・パンゲノミクスの登場以来、両分野の中心となるデータ構造が、ゲノム変異を表すうえで非常に類似しているという観察があるにもかかわらず、両者は別々の分野として存在してきた。比較ゲノミクスにおける種々の組換えモデルに関する理論的成果は豊富にある一方、組換え問題の定式化に起因する制約によりパンゲノムデータへの適用が妨げられている。実用面では、パンゲノムは、頻出するNP困難なパーシモニー問題のような古典的問題を解くのに必要な情報を、または組換え距離による全対全比較を行うのに必要な計算を、単に個々のゲノム数の多さゆえに困難にする。理論面では、組換え問題の定式化における仮定、例えば基礎となる木(tree)を仮定することが、多くのパンゲノムには不適切である。そこで本研究では、両者の古典的な組換え問題との直感的な関係を保持しつつ、これらの制約を克服する、パンゲノムに対する完全祖先復元(Complete Ancestral Reconstruction for Pangenomes, CARP)問題を提案する。

https://doi.org/10.64898/2026.08.27.747493