原発開放隅角緑内障(POAG)は不可逆的な失明の主要原因であるが、症例の最大半数が未診断のままであり、早期介入の機会が制限されている。遺伝学的リスク層別化は、とりわけPOAGの負担が不均衡に大きい一方で遺伝学的研究への参加が少ないアフリカ系の人々における早期検出の改善に寄与しうる。これまでの緑内障多因子リスクスコア(PGS)によるアプローチでは、POAGに加えて眼圧(IOP)や隅角胞盤比(CDR)などの関連する眼の形質を取り入れることで予測精度を高めてきた。しかし、多くの評価は集計的な識別能に焦点が当てられてきた一方で、内在表現型(エンドフェノタイプ)に固有の遺伝情報が臨床的解釈可能性を改善できるか、あるいはリスクが極端な個体を同定できるかについては十分に分かっていない。そこで本研究では、IOPとCDRに関する遺伝情報をリスクの別個の構成要素として保持する、内在表現型に基づくPGSモデルを開発した。これらのスコアは、Primary Open-Angle African Ancestry Glaucoma Genetics(POAAGG)研究の独立検証コホート(n=271)で評価し、Penn Medicine Biobank(PMBB)のコホート(n=1,662)で検証した。さらに、POAAGGの緑内障疑いの縦断コホートにおいて臨床的妥当性を評価した。加えて、PMBB参加者のPGS分布の上位および下位の極端値(5パーセンタイル)について、内在表現型に基づくスコアが臨床的に意味のあるリスクのパターンを捉えているかを検討するため、手作業によるカルテレビューを実施した。内在表現型に基づくPGSは、単一の集計的なPOAG PGSスコアでは得られない経路レベルの寄与(アトリビューション)を提供する。実測のIOPとCDRを共変量として組み込んだモデルは、全体としての識別能は同程度であったが、予測リスクの極端域において同じ個体を優先して特定できるわけではなかった。縦断的な疑いコホートでは、ベースラインのIOPに基づくスコアにより、その後POAGへ転換した群と安定した群を層別化できた。手作業のカルテレビューは臨床的解釈可能性も支持した。すなわち、CDRに基づくスコアは、EHRベースの分類を超えて、緑内障性の障害に対する構造学的な感受性を示した。一方、IOPに基づくスコアは、圧力関連の疾患に対する遺伝学的感受性を捉えていた。これらの結果は、内在表現型に基づく多因子モデル化が、緑内障の遺伝学的リスク予測を集計的な識別能の枠から、リスク層別化におけるより臨床的に解釈可能な枠組みへと前進させうることを示している。アフリカ系祖先の集団では、このアプローチが生物学的に意味のある異質性の同定、転換リスク予測の支援、そして早期のサーベイランスの恩恵を受けうる個体の優先付けに役立つ可能性がある。
https://doi.org/10.1101/2025.09.29.25336758