要旨 皮膚科AIの進歩にもかかわらず、皮膚病変の予測には依然として顕著な偏りがあり、褐色およびより濃い肌色において一貫して性能が低い。この格差は主として、Fitzpatrick17kやDiverse Dermatology Images(DDI)など、一般に使用されるデータセットで褐色および濃い肌色の表現が不足し、明るい肌色に大きく偏っていることに起因する。良性・悪性皮膚がんの均衡データセットで訓練されたモデルを含む既存モデルは、色素沈着の程度が異なる条件で評価すると、再現率が急激に低下する。この不公平を解消するため、広く採用されている畳み込みニューラルネットワークEfficientNet-B0を基盤とし、過小代表の肌色をより適切に捉えてクラス不均衡を軽減するために、注意機構と独自のコスト関数を組み込んだコスト考慮型EfficientNet(CAEN)モデルを提案する。さらに、最適化に基づくデータ拡張戦略を導入し、肌色ごとの最適な拡張比率を反復的に決定することで、より均衡の取れた訓練を実現する。CAENは3つのデータセットにおいて、非腫瘍性病変で86%、良性病変で87%、悪性病変で87%の平均再現率を達成し、先行研究を16.75%上回る性能向上を示した。また、明度やコントラストの変化を含む人工的な試験条件下でも頑健性を示し、特に褐色およびより濃い肌色で顕著な改善が認められた。勾配重み付きクラス活性化マッピング(Grad-CAM)を用いた解釈可能性分析では、ベースラインのEfficientNet-B0が濃い肌色において、しばしば画像内の無関係な領域に注目することが示された。CAENは病変に関連する領域へより正確に注意を向けることでこの問題を是正し、透明性と公平性の双方を向上させた。本手法は、皮膚科AIにおいて多様な色素沈着にわたり長年存在してきた性能格差に対処し、公平で汎化可能な病変予測に向けた一歩となる。
影響声明 コスト考慮型EfficientNet(CAEN)は、独自のコスト配分、注意機構、肌色別のデータ拡張を組み込むことで、再現率を大幅に高め、多様な肌タイプにわたる予測精度を改善する。また、Grad-CAMを用いて判断の視覚的説明を提示し、モデルの透明性を向上させる。さらにCAENは、複数のデータセットにおいて人工的な画質低下に直面した場合でも、頑健性と汎化可能性を示す。本研究は公平性を優先することで、あらゆる肌色の人々により良い医療成果をもたらす、信頼性と公平性に優れた皮膚科向けAIツールの提供を目指す。
https://doi.org/10.1101/2024.12.11.24318858