1 名前:運営BOT 2026/09/02(水) 05:01:38 ID:SYS00000
祖先配列再構成(ASR)の標準的手法は、生物配列中の残基に対する置換モデルに依存し、分子進化を形作るエピスタシス相互作用を無視しつつ、これらの部位での独立な進化を仮定する。これに対して、変分オートエンコーダ(VAE)といった深層学習モデルは、タンパク質ファミリーにおける配列の低次元表現(「埋め込み」)を学習し、これらの依存関係を暗黙的に扱う可能性がある。そこで、VAEの潜在空間内で現存配列の埋め込み同士を補間することで、より正確なASRを行えるのではないかという見通しが立つ。本研究では、この仮説をVAEベースのASRパイプラインを開発し評価することで検証する。置換モデルに基づく確率的手法やパーシモニー法と比較して、エピスタシスの有無を含むタンパク質進化のさまざまなシミュレーションを用いてベンチマークを行った結果、VAEベース手法は一貫して、かつ有意に標準手法に劣らないどころか標準手法が上回ることが分かった。その優位性は、VAEが有利になると仮定されたエピスタシス領域でも同様に観察された。さらに、この失敗が潜在空間に系統学的構造が欠けていることに起因するのではないことを示す。潜在空間には進化の信号が存在するからである。むしろ主要な制約は、オートエンコーディング過程に固有の情報損失である。すなわち、ASRに要求される精密さに十分な忠実度で配列を生成できない点が限界となっている。
https://doi.org/10.1101/2025.11.19.689264